| 1.はじめに
古来、文明は森林と共にあり、森林の衰退は文明の破壊を意味するといわれる。確かに古代文明は森林の衰退と共に滅びてきたものがある。日本では年におよそ1億5千万立方メートルの木材を消費し、世界で一番の木材消費国である。世界の砂漠化が懸念されている今でも大量
に木材を消費している。その消費は主に都市とその近郊で行われ、商品として消費されている。私たちは都市にいて文明の恩恵にあずかり、水のこと、森のこと大地や海のことを忘れ、文明の立脚点である自然を忘れてしまっているのが現状ではないでしょうか。
日本人は昔から自然を大切にし、自然と共に暮らしてきた民族である。その暮らしそのものが水や森や大地と共に暮らす知恵であったといってもいい。この知恵から育まれた日本文化は、世界にも類をみない自然と共存する文化なのである。この素晴らしい文化も、現代の都市生活の中で、便利さ、快適さを追求するあまり忘れ去られ、さながらに、森や、海や、大地は汚れたままになってしまっています。
また、環境の汚染は人体にも及び、近年、住環境から発症するシックハウス症候群などのアレルギー症状を示す人がおおくなっている。日本人の体は外国人のそれと比べ腐敗しにくいといわれる。農薬や医薬品、食品添加物、防腐剤などの規制が諸外国に比べて緩いのが原因といわれます。都市での生活はストレスも多く、青少年を含め多くの人は精神的にも疲れてしまっていると思います。いずれにせよ人体には総合的負荷がかかっている上に、以前にも増して汚染が進んでいるのではないでしょうか。
私たちのまわりに、本当に安全なもの、より健康な暮らしを営める環境はあるのでしょうか。私たちはこうした現状に自分たちに出来ることで、住環境から何とかしようと考えました。まず第一に自然素材でつくりあげる自然住宅
を、又その次には自然な材料で暮らしの道具を造ろうと考えました。
このような考えから、エコロジーキッチン「エコ・サポート」
を提案したいのです。
キーワードは
2.
目的と基本構成
エコ・サポートの開発目的は、可能な限り天然素材を使用することにより環境に負荷をかけない、処分時にもリサイカブルな、そして安全なキッチンを創ることにある。また、都市近郊で要求されるデザイン性能も併せて持たなくてはなりません。
キッチンの構成を考えるとき、左右の壁の取り合いや周辺造作物との納まり、カウンターの巾寸法、将来の増設予定などあらゆる条件に適応するキッチンとするために基本構成は部材構成型のシステムキッチンとする。また、これは将来のモデルチェンジ、ビルトイン機器メーカーの仕様、寸法の変更に対応するためと、生活者の食生活の多様化に対応する為でもあります。キッチンは清潔に保つことができることを機能的条件の第一義と考えなければなりません。不必要な隙間やほこり溜まりは極力造らない構造としなくてはならないことからも補足材を部材として持つ部材構成型を選択しています。これによって将来にわたって部材を改良し、時間と共によりエコロジーの度合いを増すキッチンとして位
置付けることができると思います。
3.各部材
部材の仕様は前述のコンセプトより決定される。扉、ボックスなどの木製部分は天然木の無垢材(扉はナラ無垢材、ボックスは杉台形集成材)とした。棚板や抽斗内箱はボックス同材とし、機能パーツなどのオプション類は天然木無垢材とステンレスの組合せを選択した。オプション類はスチール製、またはステンレス製からの選択が極力可能なように設定してあります。これは価格面
でのローコスト化を可能にするためで、ともすると高級品になりがちなエコロジーキッチンのイメージを変えたいからです。スチール製品はその耐候性から塗装品かビニール被覆製品ですが、現在の時点では使用せざるおえません。よりエコロジーにするためにこの部分は極力早く改善したいと思います。
ボックスに杉の台形集成材を使用したのは、使用量
は少なくても間伐材を使用して間伐を促進し、山の機能を回復するのに役立たせるためでもあります。(キッチンだけでなく建築の部材としてもこの間伐材を使用することを促進しなければなりません)
米びつは無垢材のものをオプションで製品化しましたが、価格を十分に抑えることが出来ませんでした。今後の課題として残りました。その他、使用した金物類(取っ手を含む)はステンレスにこだわらず機能を優先し選定しました。金属のリサイクル処理方法は時間と共に解決されるものと考えたからであります。
オプションでは製品化出来なかったものが沢山あります、たとえば、木製の包丁差しがそれであります。清潔に保てるかどうかと価格面
で問題が残った為、製品化を見送りました。
ビルトイン機器については特に問題があるものだけ避け、通
常の市販品を選びました。
カウンターは標準品はステンレス製のみとし、木製は特注扱いとした。人工大理石は石油化学製品であり、特に接着剤に問題があるとのと現在の時点ではリサイカブルではないのではじめから除外して考えました。
4.デザイン
エコ・サポートのデザインは自然な暮らしの道具であることを大前提にしています。日本の文化は自然に根ざしていることは前述しましたが、自然住宅用に開発したエコロジーキッチンはそのイメージを「日本的なもの」に限定するのが妥当と考えました。
キッチンそのものはもともと「洋」のものであり、現在、市販されているシステムキッチン、ユニットキッチンなども「洋」のイメージを有するものばかりである。それらは日本古来の台所のイメージとは程遠いものばかりです。現在の我々の生活は形の上では「洋」そのものに近く、日本的なものではない。われわれが着物や袴を着なくなったように、日本古来の台所を捨てて久しいのです。だが、日本人が自然との共存を土台にして暮らしてきた民族であることから、近年、顕在化しつつある失われた自然環境を取り戻そうとする流れや、このキッチンの「より自然に、より安全に、より健康な暮らしへ」という開発コンセプトからも、自然を大切にする本来の民族性からも「日本的イメージ」をこのキッチンには保持させたい。これは別
な言い方をすれば、日本人の生活や暮らしが形の上では「洋」のものとなっても、その底に流れる
文化は真に「日本的」であり、形にならない部分では脈々とその流れを感じることができるからです。
従って、全体イメージに支配的な扉デザインはナラ無垢材框組み、鏡板は無垢材本実横張りとしています。ボックスは杉台形集成材、いづれもウッドワックス仕上げとする。抽斗やオプション類でも杉板や天然木の無垢板を使用し、取っ手もカエデ材のものを使用している。米びつは特筆すべきで杉板をインターロッキングで箱組しています。
このようにエコ・サポートは日本的なイメージを残しながら現代に適合するキッチンとして創り上げました
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